『純潔のマリア』は新しい魔女っこアニメになりうるか?

わーい、『純潔のマリア』が、アニメ化しますよ!
好きな漫画のアニメ化を知ると、「やっぱりな、アニメ化すると思ってたんだよ…」と、その出来に思い巡らせたり、「エッ、これをアニメ化しちゃうの!?」と、せっかくの宝物を、みんなにも分けてあげなさい、と取り上げられてしまったような気持ちになったり、「アニメ化かあ、よかったねえ…」と、感慨にふけったりするのですが、この作品については素直に「アニメ化、やったね!」という気持ちです。
『もやしもん』の作者が描く、中世の魔女っこ奮闘記!
物語の舞台は、中世・フランス。
戦争嫌いの魔女・マリアは、夜な夜な戦場に使い魔のサキュバスを遣わし、戦争をかき乱していた…
そんな彼女は、魔女のくせに、処女なのでした。
サキュバスには呆れられながら、他の魔女たちにはうっとうしがられながら、人間界には直接介入しない天界に代わって、聖母の名をもつマリアが奮闘します。
原作は、石川雅之さんの漫画『純潔のマリア』。
代表作『もやしもん』と並行して、漫画雑誌『good! アフタヌーン』で連載が始まり、2013年7月にいったん完結。
単行本は全3巻。
現在、アナザーストーリーである『純潔のマリア exhibition』が、引き続き『good! アフタヌーン』で連載されています。
魅力は、良い意味で生真面目なキャラクターたち
作者の石川雅之さんが描くキャラクターといえば、『もやしもん』の主人公・沢木といい、彼を取り巻くゼミのメンバーといい、短編集『週刊 石川雅之』で描かれる素朴な人々といい、みんな、良い意味で生真面目です。
一見、青臭い悩みや信念を抱えた彼らが、外の世界と折り合いをつけながら、奮闘しながら生きている姿は、魅力的で人間くさく、これぞ青春、王道の成長物語だという気がします。
『純潔のマリア』のマリアもまた、魔女のくせに戦争が嫌い、という矛盾を抱えています。
マリアのことを良く思っていない大天使ミカエルには、人間界の争いにむやみに手出しするなと釘をさされるのですが、天界が手出しをしないなら、あたしがなんとかする!とばかりに、少しでも戦争が早く終わるように、兵士や近隣住民が傷つくことがないようにと、奔走しています。
その懸命な姿は、ミカエルの名代で、マリアのお目付け役として遣わされた、エゼキエルの心にも変化をもたらします。
とはいえ、ちょっぴりワガママで、強気で茶目っ気たっぷり、キュートなマリアには、誰もが翻弄されっぱなし。
軽やかさの中に重厚さがあるストーリーといい、大人が楽しめる、新しい魔女っこアニメの誕生に、期待大です。
ちなみに、サキュバスは普段フクロウの姿でマリアに付き従い、エゼキエルはハトの姿でマリアの周りを飛び回るのですが、
あの独特の表情が、アニメでどう描かれるかにも、要注目です。