まるで芸術…短編漫画『外天楼』

今回紹介したい作品は、かわいらしい絵柄の中に秘められた狂気、独特な世界観ととんでもないストーリーの構成力に定評のある石黒正数氏の描く短編『外天楼』です。

この作品、単行本一巻で完結する短編なのですが、とんでもない密度で重厚な物語が進行していきます。
一度読み終えて本棚に戻しても、翌日また最初から読み直したくなる、そんな作品だと思います。

言いすぎかもしれませんが、ただの”漫画”としてこの作品を評することは難しいように思います。
人によっては一種の芸術のように受け止めることもできるかと思います。

短編とは思えない密度

この作品はできることなら事前情報ゼロの状態で読んでほしいです。もしあなたが「最近『外天楼』って作品が気になるけど面白いのか分からないからAmazonで人が書いたレビューを読んでから買おうかな」と、そういったことを考えているのでしたら絶対にやめておいた方がいい!ということだけをお伝えしておきます。

それでも事前情報なしで短編漫画を買うのはちょっとな…という方のために、この作品の素晴らしさを伝えるために物語の核心に触れないようレビューしていきたいと思います。

ここから下の文章を読む場合、この作品の魅力を100パーセント楽しむことができなくなってしまうかもしれません。
それでも「どんな話なの?」と気になる方は読んでみてください。

誰にもバレずエロ本を買うというミッション

物語冒頭、主人公である少年・鰐沼アリオとその友人二人の成す三人組は、本屋で如何にして人にバレないようエロ本をゲットするかという議題で盛り上がっています。
少年たちが辿り着く答えはやはり”エロ本を一般雑誌二冊の間に隠してレジに持っていく”という短絡的なもの。

アリオがそれを実践しますが、成人向け雑誌のコーナーの前にいつまでも立ち止まって自分の好みであるエロを探しているヒマはありません。アリオは本棚に目もくれず片手で雑誌を本棚から抜き取り、事前に用意しておいた一般雑誌の間に隠して早足でレジへ向かいます。

そんな、頭の中が”エロ”でいっぱいな少年たちも話が進むにつれて成長していきます。
しかし少年たちが皆いわゆる”良い大人”へ成長するという保証はどこにもないわけで…。

ロボットのいる世界

『外天楼』の作品世界は一見すると現代の日本のように思いますが多数の”ロボット”が存在することから、近未来が舞台の物語だということが伺えます。

まさしくロボット!といった外見のロボットから人間と見紛うほどの外見を持ったロボットまで、それはもう色んなロボットが登場します。
ロボットたちの挙動に注目して読んでみても面白いですよ。

加速する物語

物語中盤へ突入するあたりから、まるで違う作品を読んでいるような気持ちになってくると思います。
この作品、読み進めれば読み進めるほど新たな謎が出現しては解決され、解決したと思った謎が実は解決していなかったり、かなり目まぐるしく物語が展開されていきます。

しかし端々に散りばめられたギャグのおかげか、まったく読むテンポも落ちず、早くなりすぎず、なんだか作者に頭の中を支配されているような気すらしてきます。
ギャグ、ミステリーが好きな方はかならず楽しめると思いますよ。

些細なことでもこれ以上書くとネタバレになってしまうような気がするので、このへんで物語について書くのはやめておきます。
ひとつだけ伝えておきたいのは、一巻完結の漫画でこれ以上の完成度を持った作品というのはそうそうないということです。
完成されすぎていてまるで芸術品。
いつまでも大切に読んでいきたい作品になると思います。
是非、読んでみてはいかがでしょうか?

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