新しい知識への欲求と背筋が寒くなるような薄ら怖さを感じさせる「暗黒神話」

ヤマトタケル、という名前を聞いたことがある人は多いかと思います。
日本書紀などで様々な表記をされますが、第12代天皇であられる景行天皇の皇子とされ、日本神話の根幹部分を担う重要な人物です。
各書物に記された華々しい武勇伝によってたくさんの創作が成されているお一人ではありますが、その中でもひときわ異彩を放つ作品が、今回ご紹介する諸星大二郎先生の「暗黒神話」です。

今回ご紹介するのは残念ながらOVA版

ご紹介といっても、筆者は残念ながら原作を読んだことがありません。幼少の頃、父が見ていたOVA版でこの作品を知ったのがきっかけでした。
冒頭は神話を非常に簡略化した説明がなされ、まずは「知識が必要になりそうな作品である」ことを知らせてくれます。
そして物語が始まりますが、まず最初に出てくるのは土器。それも当時は重要文化財に指定されていた蛇紋縄文土器です。(この土器はのちに推定復元であることが判明し、現在は指定を解かれています)
この時点ですでに小難しそうな気配がプンプンします。
さらに当然のことながら諸星先生の絵柄を元にした絵は、視聴者をなんとなく不安にさせる暗い色調で描かれ、どことなく「怖さ」を感じさせます。

怖さの中に散らばる知識欲の起爆剤

ただし、こちらの作品はただ怖いばかりの作品ではありません。
一般人がおよそ知らないであろう部分や詳細な設定説明が必要な場面では必ずナレーションで説明がなされ、出来るだけ理解しやすく展開していきます。
古代日本史に興味がない人でも邪馬台国の名前を出されれば女王:卑弥呼の名前はぱっと思いつくと思います。さらに浄瑠璃に興味がある人は、「甲賀三郎窟物語」の物語はなんとなく知っていたりもするのではないでしょうか。
ヤマトタケルの伝説を主軸としながらも、そのように様々な要素を巻き込みつつ視聴者の興味を惹きつけていくのがこの作品の面白いところです。
突然現れると「そんな馬鹿な」と思えるだろう部分も、古代日本の各神話や遺跡、仏教、果ては呪術やサイエンスファンタジー的な要素まで取り込まれているこの作品を読んでいると「なるほど」と納得しながら楽しめてしまいます。

夏といえば怪談やゾッとする話がお決まりではありますが、お盆まであと一ヶ月を切ったこの季節、久し振りにまったく違う知識欲を掻き立てられてみるのもいいものではないでしょうか。

関連記事

お気に入りの漫画のイッキ読み

不要な漫画の高額買取

2015新作アニメ

Twitter

Facebook

リンク集

最近の投稿