普通が崩れていく…。『ヒミズ』のあらすじ

今回紹介する作品は『ヒミズ』。『行け!稲中卓球部』などで知られる古谷実による漫画作品です。単行本全4巻、新装版は全2巻。この少ない巻数で本当に濃密な内容が描かれています。

なによりも”普通”を求める主人公

中学三年生の主人公・住田はその若さで”普通”であることをなによりも優先し、決して目立とうとしない捻くれた性格の持ち主。
母と二人で貸しボート屋を経営しているが、超がつくほどの貧乏。

単行本1巻の前半では、その捻くれた性格を存分に発揮していてあまり良い印象を与えてくれない(というか、パッと見ただのイヤな奴)のですが、ある日突然母親が家から出ていってしまい、すこしずつ彼のアイデンティティであった”普通”の生活が崩れ始めていきます。

しかしこの住田という男はかなり肝の座った中学生なので、母親に捨てられたという事実をそのまま受け止め「特に大したことじゃねえ」「あ~~あ…明日から学校行けねーや」と、悲しみに暮れることもありません。

翌日から彼は生活費のため新聞配達のバイトを始め、貸しボート屋の経営も一人でするようになります。
当然、学校には行けません。そんな彼は未だに「俺はギリギリ普通」だと思っていて、なんだか哀れみさえ感じてしまう。
そんなところから物語はスタートします。

ついに”普通”から一番遠いところへ

住田の母が家を出ていく際残していったものがひとつだけあります。
それは借金。

母は男と愛の逃避行とシャレ込んだのですが、その男がどうやらヤクザから金を借りていたようで、住田はまったく身に覚えのない借金を背負ってしまいます。
600万円という莫大な金額を。

しかもヤクザから。そんな不幸続きの住田のもとに、とうの昔に蒸発したはずの父がフラリと帰ってきます。
住田が父に「母ちゃんはずいぶん前に知らない男と出ていった」と告げると「ふ~ん…そうかぁ…」とだけ言い父はまた去っていきます。
その後ろ姿を見て、住田は近くにあったコンクリートのブロックを手にします。

「オイ」と去りゆく父の後ろ姿に声をかけると次の瞬間住田は手に持ったコンクリートブロックで父を殴打。殴打。殴打に次ぐ殴打。
こうして住田は実の父を殺害し、彼の信条であった”普通の生活”から一番遠いところに辿り着いてしまいます。

オマケ人生

衝動的な殺人を犯し、これまで積み上げてきた普通の生活をすべて無に帰してしまった住田は、殺人を犯した翌日からのことを”オマケ人生”と呼びはじめます。

自首もせず、死ぬわけでもなく、彼はそのオマケ人生― 彼がいうにはゴミ以下の命を有効に活用したいと考えます。
そして彼は、包丁を常に携帯し”悪い奴探し”を始めます。

“悪い奴”を探して殺す。それが彼の言う命の有効活用というわけです。
こうして、彼の期限付きの悪い奴探しがはじまります。

期限は一年

住田は、自分が生きていられるのはあと一年だと考えます。
不安も、喜びも悲しみもないこんな状態で生きていられるのは長くて一年…そう考えています。

なので彼は悪い奴探しに期限を設けます。一年。
一年、悪い奴を探して殺すことができなかったら自分の家で首を切って死ぬ…という決意を固めて日々アテもなく街を歩き回り”悪い奴”を探しまわる…。そんな生活の果てに一体なにがあるのか?なにが待っているのか?
真相は、是非ご自身でお確かめください。

前述したように、単行本全4巻、新装版全2巻と集めやすい巻数になっています。
死ぬまでに一度は読んでおきたい作品として、自信を持っておすすめします。
是非。

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