現代ゾンビ漫画の金字塔『アイアムアヒーロー』

今回ご紹介したい作品はビッグコミックスピリッツにて2009年から連載中の漫画作品『アイアムアヒーロー』です。

代表作に『ボーイズ・オン・ザ・ラン』や『ルサンチマン』といったいわゆる”非モテ”の主人公が活躍する作品が多く、『アイアムアヒーロー』の主人公も、もちろんかなりの”非モテ”です。

女性にモテず、引っ込み思案でとくになんの取り柄もないと思われていた主人公が活躍するシーンを見て、なんだか勇気づけられたりしますよ。

日常から、臨界

この作品、単行本第一巻にはほとんど大きな動きが見られません。それもそのはず、主人公である鈴木英雄(35歳)は漫画家見習い。
過去に連載を持ったことはあるが、すぐに打ち切り。

それからずっとプロの漫画家の下でアシスタントをしながら日銭を稼いでいる冴えない男の日常を淡々と描いているだけのシーンが単行本一巻分まるまる続きます。

こうして文章であらわすと「なんだ、つまらない漫画だな」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
この日常パートにも、些細な部分にこの作品特有の狂気が見え隠れします。

そして主人公の鈴木英雄(35歳)は非モテで冴えないにも関わらず、黒川徹子(愛称てっこ)という彼女がいます。
ギリギリの生活ですが、彼女といる間はそれなりに幸せな生活をしている英雄。
彼らはその頃、水面下ではとてつもなく大きなパンデミックが起こりはじめているという事実を知る由もありません。

ある日、英雄がてっこ宅を訪ねたところ、ドアを叩けどチャイムを鳴らせど反応がありません。
不審に思った彼が部屋のドアの郵便受けを開けると部屋の中の様子が伺えます。

てっこはベッドに横たわっていて、気のせいか、体の周りを数匹のハエが飛び回っているように見えます。
英雄がてっこに呼びかけると彼女は気怠そうに体を起こし、ベッドから這い出てきます。
この時点で尋常ではない雰囲気。
てっこはそのまま四足歩行で玄関へ向かってきます。

そして英雄が覗き込む郵便受けの目の前でようやくてっこの顔がアップになりますが、その顔はかつてのてっこのモノではありませんでした。
まるでゾンビのように変貌したてっこが英雄へ襲いかかってきたのです。

このシーンから、”ゾンビ漫画”としての『アイアムアヒーロー』がスタートします。

映画のような臨場感

この作品、まるで映画を観ているような感覚で読むことができます。
何故かと言うと、この作品、いわゆる”扉絵”というものが存在しません。

漫画雑誌に連載されている漫画のほとんどが各話の最初に扉絵をつけますが、この作品には扉絵が一切登場しません。
各話にサブタイトル等もついていません。そのため各話の終わりとはじまりで話が途切れず、一冊がずっと繋がっている印象を受けます。

写真を取り込んだリアルな背景、パンデミックが起きたあとの町の奇妙な静けさ、そういった要素が重なって、まるで映画を観ているような気分にさせてくれます。

そういえば、2015年に俳優の大泉洋さんが主演で実写映画化もするようですね。
映画の予習にも良いタイミングですし、この機会に読んでみてはいかがでしょうか?
『アイアムアヒーロー』、かなりオススメですよ。

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